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家づくり｜定期点検と修繕費用
住まいの維持・管理
住まいを丈夫で美しく、かいてきなじょうたいに末永く保つには、メンテナンスが欠かせません。長持ちする工法や材料を使っても、メンテナンスしなくてよいのではなく、適切に維持管理すれば、長くもつ方法を選択したということにすぎないのです。
建てたら終わり？
不具合が起こった場合、その原因を早期に特定し修繕するか否かで、住まいの寿命に大きな差が出てきます。そして時機を逃さず、効率のよい修繕をするためには、定期的に点検を行うことが大切です。
経年による劣化以外にも、点検を行うことによって、新築時の隠れた瑕疵が発見される場合もあります。
どこを点検すればよいか
住宅の「構造耐力上主要な部分」および「雨水の侵入を防止する部分」は、品確法の瑕疵担保責任でも対象とされている重要な部分です。下記にいくつかの点検のポイントを挙げたので参考にしてください。
工法、仕様、所在地の気候などによっては、点検・補修の項目や時期は異なってくることがあるので、その点は設計者や施工者に相談してください。また、点検項目には、専門家に依頼したほうがよい個所もあります。特に屋根や床下、天井裏などは危険も多いため、注意が必要です。
もれなく点検するには、ガイドラインと併せて図面を確認しながら行うと確実です。新築時の図面、仕様書などを保管しておきましょう。
点検時の記録はシートに記入し、保管します。住宅金融支援機構のホームページより、「マイホーム点検・補修記録シート」がダウンロードできます。参考にしてください。
早めの修繕、交換を
点検をしてみて、不具合が発見されたときは、できるだけ早く対処することが肝心です。不具合を放置すると状態が悪化し、それを元通りに復旧するのに莫大な費用がかかってしまうことがあります。
点検時期の目安を参考に、計画的に修繕を行うことも大切です。無計画に各所で行うと、効率が悪く費用ばかりかさんでしまうことにもなりかねません。たとえば、築15年ほどで外壁の塗り替えが必要になってくることが多いのですが、壁などのシーリング（隙間を充填剤で塞ぐこと）や屋根、鉄部、木部の塗替え、樋の修理なども、必要があれば同時に行うと効率的です。足場の設置はそれだけで費用がかかるため、数種の工事で兼用したいものです。
修繕費用の大まかな計画を立て、費用を積み立てておくのが理想です。
修繕の記録をとっておく
修繕を行ったら、工事の図面や見積書、写真などを点検結果とともに保管しておくようにしましょう。その後の点検や修繕工事の際に不可欠です。
住宅を売却する場合にも、記録があれば、中古住宅の価値を判断する際の有効な材料として活用できます。保管してきた記録をそのまま相手に渡すことによって、「住まいが適切に維持管理されている」ことを伝えられるのです。
基本構造部分の点検
基礎
①鉄筋コンクリートでつくられた基礎の重要部分である鉄筋は錆びると膨張し、内部からコンクリートを壊してしまうおそれがある。錆びの原因の多くは、雨などがひび割れや欠損部分からしみ込むことといわれている
②幅0.3mm以上のひび割れ、深さ5mm以上の欠損がメンテナンスのサイン
③蟻害（ぎがい）に関し、基礎の表面に土でつくられたトンネル状の蟻道（ぎどう）がないかチェックする
土台・床組
①木材の腐朽、カビの発生を、床下点検口か床下収納庫をはずした穴からライトを照らして調べる
②床を支えている木材にカビがついていたり、腐っていないかを確認する。湿気は木材の大敵なので、床下を覗いたときに、湿気を感じたり、水が溜まっていたりしたら要注意。
③床下で最も気を配りたいのが蟻害の有無。以下を確認する。
・木材の表面に、土でつくられたトンネル状の蟻道がないか
・木の表面に、幅2mm前後の穴・点・筋が年輪に沿って直線状に並んでいないか
・木の表面に、筋状・面状に土がつき、剝がすと穴があいていないか
・木をたたくと、コンコンではなく、ポンポン（ボンボン）という音がしないか
・木の表面を残して、中が空っぽになっていないか
外壁
①雨漏りは生活に支障があるばかりでなく、住宅の骨格に有害である。基礎の場合と同様にひび割や欠損のチェックが必要
②塗壁の場合、仕上材から下地材の表面まで貫通したひび割れや欠損があるかどうかを確認する
③タイル張りでは、複数のタイルにまたがったひび割れや欠損の有無を確認する
内壁
①表面にひび割れ、雨漏りによるシミ、カビの痕跡がないことを確認する
②壁の中央部や開口部付近に縦ひび、紙やクロスにしわがないかチェックし、表面材でなく下地材のひび割れなどに起因すると思われる部分がないか確認する
屋根
①雨漏りの原因になる兆候を見逃さないようにする。住宅全体を見通せる位置から屋根を見て、不自然なムクリ（反り返り）や、窪み、波打ちがないか、屋根葺き材の浮き、ずれ、割れがないか確認する。
②基礎にひび割れが発見されている場合には、住宅全体に傾きがないかチェックする
③屋根裏からも、雨漏りのシミがないか、カビや蟻道がないかを確認する。押入れの天井板を外して屋根裏全体を見渡し、小屋組や2階床組に、木の隙間の木屑、裂け目からのぞく空洞、木材のくずれ、継ぎ目の隙間、割れ、腐れ、がないかを確認する
④鉄骨造の場合は、鉄材の赤サビ発生の有無を確認する
床・柱・壁の傾き
①傾きが大きい場合、安全性に影響する構造的な問題の可能性がある。歩いてみて異常が感じられる場所について、傾きを測る
②１mに対して3mm以上の傾きがシグナル。それが構造の異常に直結するわけではないが、問題発生の可能性を示しているので、専門家に見てもらうようにする。6mm以上の傾きが見られれば可能性が高い
③水まわりや居間など使用頻度の高い部分は特に注意して歩いてみること
